文化と歴史が価値を生み出す ~2025年、日本の施策提言~

モンゴル帝国初代皇帝-チンギス・ハーン

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文化と歴史が価値を生み出す ~2025年、日本の施策提言~
京都とモンゴルとの提携が日本を変える
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2025年も折り返し地点が近づいてきていますが、この数年来の物価上昇が止まりません。

マスメディアは今の経済状況を「緩やかに回復基調」などと報じますが、それを実感しているのは一部の企業だけ。物価上昇や税金の高さ、複雑化の中で中小企業や個人事業主は経済回復をほとんど感じることができずにいます。

しかも税金が国民の生活に充分環流されているということも実感できず、むしろ海外へと流れ、または海外からの旅行者や移住者、留学生を優遇することに多く使われていることも分かってきました。

私は諸外国との関係や海外からの訪問者も大切にすべきだと考えていますが、それは国へ税金を納めている国民とその家族の生活の安定がまずあって、その次に海外へという順番ではないでしょうか。

しかしこのような政治や行政の歪みは、ただ非難してもなかなか正されません。政治がダメ。行政、官僚機構もダメ。経済も30年にわたり停滞していたこの国は、これから数年、様々な面でもっと状況が悪くなっていき、世界的な影響力も低下していくと私は読んでいます。

こうした日本が国のあり様をただし、世界的に影響力、存在力高めていくためにはどうしたらいいか。私は1つのアイデアを持っています。それが「これまでにない『油田』を持つこと」

「油田」とは「価値を生み出す源泉」を意味します。

20世紀の「油田」

20世紀、「油田」はその字のとおり石油を生み出す泉であり、これが価値を生み出してきました。石油産出国や産出国を支配する国が経済的に発展し、影響力を持ち、世界を仕切っていました。世界は石油によって大きく発展してきましたが、同時に石油の奪い合いによる戦争や、環境汚染など多くの問題を生み出し、地球は限界を迎えています。

21世紀となった今、次の「油田」となるものは何か。私はこれを「それぞれの国や地域が持つ『文化と歴史』」ではないかと考えています。古い時代から伝わる独自の文化やその国、地域の歴史。こうした「積み重ねられてきたもの」が見直され、人々の心を惹きつけ、新たな価値になっていく。国として歴史が世界200ヶ国の中でもっとも長い日本は、その先導役になれるとも考えています。

ただし、独自の文化や歴史を自分でアピールしても、世界から注目されるようにはなりません。「日本が何か叫んでいる」というようにしか思われないでしょう。

では実際にどうすればいいかと言うと、日本と同様に独自の文化や古い歴史を持ち、古代や中世において影響力を持っていた国や地域「提携」し、交流を深めていくのです。

特に20世紀に関係が密だった国や地域とではなく、中央アジアや中東などの国や地域と提携し交流を図ることで「遠い国」だった日本の認知度を高め、こうした国々と共に文化や歴史を土台にした新しい価値を作っていくのです。

その提携していく最初の国として私が考えているのは“モンゴル”です。

モンゴルのゲル

モンゴルはもともと親日国の1つであり、日本語の学習熱も高く、学習者総数は13000人と世界20位。10万人あたりの学習者数は417.1人で、成長国の中でもっとも高くなっています。

また日本の大相撲では2000年代より朝青龍関や白鵬関などモンゴル出身の力士が活躍され、日本人にとってもモンゴルは「近しい国」といういう印象になりつつあります。

他にも、モンゴルはモンゴル帝国が成立する以前から天や自然、先祖を崇拝し、天地や祖霊などから言葉のメッセージを降ろす「シャーマニズム」が広く信仰されてきました。日本でも古代より太陽や月、山や石などの自然や先祖を崇拝する「神道」と呼ばれる信仰がありました。両国とも、こうした多神教的な信仰が広がり、後に仏教や他の信仰が入り、融合、習合しながら独自の信仰体系を作ってきたという面でも親和性が高い国同士である言えるでしょう。

モンゴルと日本とは、すでに首都ウランバートル市と宮崎県の都城市が姉妹都市提携が結ばれています。他にもウランバートル市のソンギノハイルハン区と静岡県の伊豆の国市、ウランバートル市のスフバートル区と長野県佐久市、トゥヴ県と鳥取県など、10の姉妹提携が成されています。

そこで私は、新たに京都市と、モンゴル帝国時代の首都・カラコルムが姉妹都市提携を結ぶ構想を立てています。

エルデネ・ゾー寺院

かつてカラコルムのあった場所は今は「ハルホリン」という名の人口約1万人4000人の町。そしてカラコルムの栄華の一部は「遺跡」として整備され観光資源となっています。このそばにカラコルムを再興し、首都機能を移転する巨大プロジェクトが現在進行しており、昨年2024年には世界中の428チームが参加した国際入札で5チームが選出され、2030年の着工を目指しマスタープラン作りが進められています(選ばれた5チームの中に日本の建築家・隈研吾氏が率いる「Kengo Kuma with Index Group」も含まれます)。

モンゴル帝国時代の「カラコルム」、そして桓武天皇が遷都した「京都」はともに当時の巨大都市であり両国の首都でもありました。

またモンゴルも日本も「仏教」が盛んな国。チベット仏教の影響を受けカラコルムにも多くの仏教寺院があったとされ、現在も「エルデネ・ゾー寺院」の一部が残されています。京都には最澄が開いた比叡山延暦寺をはじめ空海の真言宗など各宗派のお寺が多数残されています。

こうした共通点を持つ両都市が姉妹都市となり、高校生や大学生の交換留学をはじめ、モンゴル仏教の「活仏」や、日本の真言宗、天台宗の「阿闍梨」など高僧たちが互いの仏教を学び合うなどの文化交流を進めていくことで、これまでのような経済や技術、学問の分野に加え、文化や信仰の面からも都市と都市、国と国が深くつながっていきます。

カラコルムの再興は2030年着工を目指し進められているため、都市ができあがるのは遠い未来のように思えます。しかし実際には着工から数年のうちに主要な機能は整備されるでしょう。今からモンゴルとの関係を国同士、そして民間の両面から深めていくことが肝要で、私自身もこれを進めていきます。


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